2012年10月29日月曜日

アイヌ文化に学ぶ自然と環境 研修もお話も大満足。

外洋船
北海道自然観察協議会の研修会「アイヌ文化に学ぶ自然と環境」に誘ってもらい、行ってきました~
場所は、札幌市小金湯温泉にある“サッポロピリカコタン(札幌市アイヌ文化交流センター)”。小雨だったけど、紅葉が綺麗だったな♪

講師は、ヤイユーカラの森運営委員長で北海道教育大学非常勤講師の計良光範さん。
10時から15時まで、お昼休憩を抜いた4時間コースで、こんなに長時間、アイヌ文化のお話が聞けるなんて、貴重な時間だわ~

全体的におもしろい話だったけど、特に興味を持った部分、気になった部分を少しだけ。

講師の計良さん
◇文化とは
文化を貫いているのは精神。文化を理解するためには精神構造を理解しなければならない。
文化というのは変化する。博物館でただ眠っているだけなら“文化遺産”。
文化を創り出した精神を自分のものにすることで、日常生活に文化を取り戻すことができる。
自分の感覚、体を通して文化を獲得しようとしなければ、文化は死んでしまう。

文化は血よりも確実に伝播する。血の流れはあまり関係ない。
純粋なアイヌは何人いるかと聞かれることがあるが、「いません。最初からいなかったかもしれない」と答える。
人種は一つなのに、人は血にこだわる。それが差別につながる事が多い。

刺繍の文様には魔除けの意味があるという説も
◇アイヌの精神(文化)
・自然と共生してきた北海道(日本)の先住民族
・自然界のすべてを神とし、神々と共に生きてきた民族

和人を含めてすべての民族がそうだったはず。自然に依存して生きていた。日本には多くの森が残されてきた。これほど自然と共存している民族も珍しい。
思い込み、美しい表現は消して考えてほしい。

◇アイヌ文化の推移
明治政府による同化政策以降、アイヌの生活文化は急速に、あるいは、緩やかに失われていった。
 <急速に失われたもの>
 ・生業に伴う文化(狩猟、漁労 関係)
 ・言語:教育による徹底とコミュニティの崩壊。
   アイヌと和人とは別の学校が設けられ、アイヌは土人学校(俗称)で教育した。
   教育はすべて日本語。アイヌ語を使うと怒られた。
   子どもがアイヌ語を使うことで怒られると可愛そうなので、家庭でも使わなくなる。
   集落でも。そして、言語が失われていった。
 ・衣食住の文化:和人化に伴う変化
 ・採集活動の制約…イオル喪失と環境の変化
 ・手工芸文化の衰退…生活難と脱アイヌ意識
 ・通過儀礼:コミュニティの崩壊とアイヌ意識の拡散
 ・伝統行事:歌謡・舞踊:儀式がなくなると歌や踊りもなくなる
 ・信仰:和人化の浸透

失われてきたアイヌ文化は、それでも頑なにアイヌ文化を守ろうとする一部人々や観光地、学者・研究者・一部の収集家によって保存された遺産として何とか残ってきた。
遺産としてのアイヌ文化ではなく、生活の中に取り込み、生きた文化にしていこうと様々な取り組みが行われている。

◇北海道アイヌ協会の名称について
アイヌ民族の尊厳を確立するため、その社会的地位の向上と文化の保存・伝承及び発展を図ること」を目的に1930年に設立された協会。
しかし、差別を受けてきた歴史の中で、“アイヌ”という言葉に大きなマイナスイメージをアイヌ自身が持っていた。それは、“アイス”という言葉を見聞きするのも嫌なほどだったという。
そこで、1961年、北海道ウタリ協会と名称を変更したとのこと。
た だ、先住民族間の交流が盛んになるにつれ、国際的に“ウタリ”という意味を説明しづらかった。英語表記の名刺には、かなり早い段階から“アイヌ”と記して いたが、日本語は“ウタリ”という矛盾したものになっており、2009年に再度、日本語でも北海道アイヌ協会と名称を変更した。

他にもいろいろお話を聞いたのだけれど、長くなるのでこの辺で(笑)。

サッポロピリカコタンには、野外にアイヌ式のチセ(家)が再現されている。
休憩時間にそのチセに行ってみると、アイヌのおば様が火を焚きながら刺繍をしていたのです。その火の中には何やらアルミホイルに包まれたものが・・・。

わたし:これ何ですか?
おば様:あぁ~、サツマイモとここで拾った栗を焼いてるんだよ。食べたい?
わたし:食べたいです♪
おば様:わたしたちが子供の頃は、栗を生で食べたんだよ。ほかにもいろんな木の実を食べたものなの。甘いものがなかったからね。桑の実で手や口の中が紫になったこともあったわね~
わたし:そうなんだ~。

おば様:サツマイモはまだだからお昼においで。食べさせてあげる。今はほら、栗食べて。
わたし:やった~!ありがとうございます。


気になると、すぐに話しかけてしまうのです(笑)。

お昼休憩になり、小金湯温泉でご飯を食べた後、再び、チセへ。

おば様:ほら、お姉ちゃんのおイモ取っておいたよ!
わたし:いただきます!

ホクホクで美味しい!
この雰囲気で美味しさ倍増だわ~♪

わたし:いつも焼いてるんですか?
おば様:時々ね。火があるからもったいないじゃない?特に子供は喜ぶしね。

この煙で家が丈夫になるんだよ。夏は虫もヘビも寄って来ないし。

この後、研修会でもチセをみせてもらい、1日で3回もお世話になってしまった(笑)。
しかも、帰りにおば様に栗をいただきました。
大満喫の研修会になったな~


研修終了後は、まつの湯に。
さらに、今日の晩ご飯は栗ごはん♪

計良さん、おば様、協議会の皆さん、ありがとうございました!

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