2012年7月17日火曜日

青年たちの国際交流 持続可能な社会に必要な人材とは?

7月11日から13日の3日間、内閣府の事業でドミニカ共和国とラトビアそして日本の若者(30歳以下)の国際交流事業にファシリテーターとして参加した。ちなみに去年はラオスとヨルダンだった。

3か国の青年が集まり、環境、文化、教育の3つのコースに分かれ、関連施設を視察したり、コースに分かれてディスカッションし、その結果を発表するという内容。
で、環境バリバリのわたしだけど、教育コースをお任せいただくのです。いつもとは違うテーマ、しかも英語という、わたしにはなかなかハードなお仕事なのでございます(笑)。


昨年同様、今年も各国の教育システムと課題について発表してもらうことから始めた。日本以外の国は課題というよりも、システムの良さを紹介する場合が多い。
前回も今回も一番議論が白熱したのが、日本における教育の課題、特に「いじめ」について。

日本の青年たちの発表に、わたしも驚かされた点がいくつかあった。

1.減点方式による評価
2.質問内容が稚拙だと恥ずかしいから先生に質問しない
3.正確さを重視する日本の教育によって日本の科学技術が発展している

評価が減点方式だなんて知らなかった。「最初に一律のポイントを持っていて、ダメなところがあればマイナス、またマイナス。良いことをしてもプラスにはならない。ただただ、マイナスされるだけ!」と、半分怒ったように説明していた。
そりゃ、怒りたくなるな。

「先生に質問ができなのはどうして?人間だもん、間違うものでしょ?」という質問に、
「先生はとにかくテストにパスすることしか教えない。わたしたちはコミュニケーションの取り方を教わらない」と・・・。

■ 持続可能な社会に必要な人物像とは?

前年度は、各国の発表の後、自分たちでテーマを決めてディスカッションしてもらった。ちなみに、その時は3つのグループに分かれてもらい、1つのグループは“いじめ”、残りの2つは“社会に活かせる教育方法”についてだった。
今回はちょっとインプットして、考えるテーマをこちらから提案してみた。


次のスライドを見せた。
なぜ教育が必要なのか?
美しい三陸の海
2011年3月11日 14時46分
津波により破壊された町
家は流され、大型船も座礁

日本は今、東日本大震災を受け、復興に向けて動いている。そこには課題が山積している。
一方で、自然災害に関わらず、経済破綻、戦争などにより、地域を再生させる必要がある危機に直面することは国を問わず経験してきた。また、いつ経験することになるか分からない。
大きなショックを受けたとき、日頃の教育の質が明確に問われる。つまり、「多様な課題を解決できる人材を育てられているか」。
国によって教育システムも課題も違う。でも、教育の目的は同じだと思う。
きっとそれは、持続可能な社会をつくる人材を育成するためではないだろうか?
そこで、次の事を考えてほしい。
持続可能な社会のために育てるべき人材とは?
1.持続可能な社会を実現するために必要な人材に求められるスキル(素養)は?
2.またそのスキルを身に着けるために必要な教育とは?

以上の2点について考えてもらった。
正直、根本的な課題なのでかなりハードルは高かったと思う。
でも、根本が明確でなければ人を教育することはできないと考えて、敢えてこのテーマに挑んでもらった。

■ 人間性とそれを育む教育とは?


ドミニカ共和国3人、ラトビア4人、日本7人の合計14人を2グループに分けてディスカッションしてもらった。

英語力の問題もあり、ディスカッションはドミニカ共和国とラトビアの青年たちが中心に進んでいった。それでも、日本人の青年たちも参加しようとする気持ちは現れてた。もうちょっと積極性があった方がいいのにな~、と思う場面もあったけど、全体的には素晴らしかった。


1時間ほど話し合ってもらい、各グループに内容を発表してもらった。
期せずして、1つのチームは持続可能な社会づくりに必要な人物像を詳細に描いてくれ、 もう一方のチームはその人材育成のプログラムを考えてくれていた。

必要な素養としては、
・コミュニケーション力
・創造力
・責任感
・行動力
・マネージメント力
・忍耐力
・傾聴力   など

人材育成プログラムとしては、
・学校でのディスカッション
・基礎教育
・国際問題を学ぶ授業
・多様な文化や歴史などを実体験するための相互交換プログラム   など


基礎的な学力を身に着けつつ、多くを体験することによって他者を理解し、受け入れ、さらに新しいものを創り出していくことができる人材を描いてくれた。
この人物が持続的社会をつくる担い手となってくれるという結果を導き出してくれた。3時間という短い時間でよくまとめてくれたな~、と関心してしまった。
3コース合同の発表会
 つたないファシリテートにも関わらず、やっぱりこういうところに来る子はすごいな~って心底思った。とても行動力があり、意見もきちんと言え、他者の話も聞くことができていた。
彼らが活躍できる社会になれば、持続可能な社会を実現することも夢ではないかもしれないと希望を持つことができた。

余談かもしれないけど、日本の教育はもっと多くを体験させることが必要だと思う。
テストで高得点を取る子だけが優秀だという評価指標がそもそも間違っているし、テストができるのと社会で生きていくのとは全く違う。教育が社会とつながっていない。

人間社会で生きていくために最も必要な素養として、“コミュニケーション力”があると思う。コミュニケーション力は語学力ではない。他者を理解しようとする心意気じゃないかな。
そういった面を学校を中心として社会全体ではぐくむことができれば、極端な「いじめ」もなくなるし、もっと自分の周囲に関心を持ち、気に掛けることができるような人を育てることができるのではないかと思う。

なるべく若いうちに自然を感じ、異文化交流を進め、五感をフル活用した体験を通して、人間性を育んでいく教育に力を入れることの大切さを改めて感じさせてくれる数日間だった。
みなさん、ありがと~ (^o^)b

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